医療・介護

【看護師必見】妊娠•出産に使える制度とは?母子を守るためには知らないと損!

こんにちは!

看護師が妊娠したら使える制度はご存知ですか?
新人看護師1年目では使えない制度もあるんですよ。

私は入職して3ヶ月経った頃に妊娠が発覚しました。

実際に働いてみると想像以上に身体的・精神的にストレスが多く、「育児休業給付金がもらえない」なんてこともあり…

今回はそんな新人看護師1年目に妊娠を経験したことをもとに、妊娠・出産の制度について紹介したいと思います。

妊娠・出産後の働く女性を支援する法律・制度

保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保

事業者に申し出をすると、健診等を受けるために必要な時間が与えられます。
また自ら希望して、会社の休み等に健康診査等を受けることに対して、妨げられることはありません。

確保すべき必要な時間
  • 健康診査の受診時間
  • 保健指導を直接受けている時間
  • 医療機関等での待ち時間
  • 医療機関等への往復時間

確保すべき受診回数
  • 妊娠中
    妊娠23週まで… 4週間に1回
    妊娠24週~35週… 2週間に1回
    妊娠36週から出産まで… 1週間に1回
  • 産後(出産後1年以内)
    産後の経過が正常な場合は、通常産後4週前後に1回、健康診査等を受けることになっています。
    また産後の回復不全等では、受診に必要な時間を確保しなければなりません。

通勤緩和

交通機関の混雑による苦痛はつわりの悪化や流産・早産につながる危険性があります。
そのため
医師等から指導を受け、申し出があった場合はラッシュアワーの混雑を避けて通勤することができます。自家用車も対象です。

≪時差通勤≫
始業時間及び就業時間に各々30~60分程の時間差を設ける など

≪勤務時間の短縮≫
1日30~60分程の時間短縮  など

≪交通手段・通勤経路の変更≫
根絶の少ない経路への変更  など

妊娠中の休憩に関する措置

医師等から指導を受け、申し出をした場合は適宜休憩や捕食ができる、休憩時間を長くする、休憩回数を増やすなどができます。

  • 休憩時間の延長
  • 休憩回数の増加
  • 休憩時間帯の変更 など

妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

健康診査等の結果で医師等から指導を受け、その旨を申し出すると、指導事項が守られるよう業務調整してもらえます。

具体的な措置例

≪作業の制限≫

  • 重量物を取り圧合う作業・継続作業(6~10㎏以上)・断続作業(10㎏以上)
    →患者さんの介助など
  • 外勤等連続的歩行を強制される作業
  • 常時、全身の運動を伴う作業
    →患者さんの介助など
  • 頻繁に階段の昇降を伴う作業
    →妊娠中はエレベーターを使用できるなど
  • 腹部を圧迫するなど不自然な姿勢を強制される作業
  • 全身の振動を伴う作業
    などを、デスクワークや負担軽減された作業へ転換

≪勤務時間の短縮≫
つわりや妊娠貧血等の症状に対応するため医師等の指導に基づき、1日1時間程の勤務時間の短縮

≪休業≫
つわりや切迫早産、切迫流産、産後うつ等の症状が軽快するよう医師等の指導に基づき休業

≪作業環境の変更≫
つわりの症状に対応するため、悪臭がする場所から移動させて勤務させる

妊産婦等の危険有害業務の就業制限

重量物を取り扱う業務や有毒なガスを発散する場所の業務などに就くことを禁止しています。

産前・産後休業

パートなども含めてすべての女性労働者が対象です。

≪産前休業≫
請求すれば出産予定日の6週間前(双子以上は14週前)から

≪産後休業≫
請求すれば出産翌日から8週間(医師が認め本人が請求した場合は産後6週間)

妊婦の軽易業務転換

  • 前かがみ作業
  • 長時間の立ち仕事
  • 休憩が取れない

など身体的な負担が大きい作業の場合、申し出にて軽易な業務に転換してもらえる。

時間外労働、休日労働、深夜業の制限

妊産婦はこれらを請求できます。
(深夜業とは22時~5時までの間)

変形労働時間制の適応制限

妊産婦が請求した場合は、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることはできません。

育児時間

生後1年未満の子ども(実子・養子)を育てる女性は、1日2回各々少なくても30分の育児時間を請求できます。
育児時間をいつにするかは、当事者間に任されています。

育児休業制度

休業の申し出時点で、取得条件を満たしている者が対象で、原則子どもが1歳まで(または1歳6ヶ月~2歳)

取得要件

  1. 申し出時点で1年以上継続して雇用されていること
  2. 子どもが1歳6ヶ月(2歳までの場合は2歳)になるまでに労働契約が満了することが明らかでないこと

≪育児短時間勤務≫
子どもが3歳まで男女とも、原則1日6時間とする勤務時間の短縮を申し出できます。

≪所定外労働の制限≫
子どもが3歳まで男女とも請求すれば、所定外労働時間が制限されます。

≪子の看護休暇≫
子どもが小学校就学の始期に達するまで男女とも請求すれば、年次有給休暇とは別に休暇を取得できます。
(年間子1人につき5日まで、子2人以上は10日まで。半日単位でも取得可能。)

≪時間外労働の制限≫
子どもが小学校就学の始期に達するまで男女とも請求すれば1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働が制限されます。

≪深夜業の制限≫
子どもが小学校就学の始期に達するまで男女とも請求すれば、深夜業が制限されます。

母性健康管理指導事項連絡カードを利用する

妊娠中及び産後の女性労働者が医師等から通勤緩和や休業などの指導を受けた場合は、その指導内容がカードに記載されます。そのため指導内容が事業者に的確に伝えられるようになるカードです。
女性従業員からこのカードを提出された場合は、カード内容に応じた適切な措置をとることができため利用しましょう。

出産・育児の経済的支援

出産手当

産休中の給与の代わりに、生活をサポートするために支払われる手当金です。

  1. 対象者
    勤務先の健康保険、公務員との交際組合の被保険者
  2. 支給額
    標準報酬日額の3分の2に相当する金額対象期間
    出産日(出産予定日後の場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から翌日以後56日までの範囲に会社を休んだ期間
  3. 手続き
    勤務先又は全国健康保険協会(協会けんぽ)への申請書の提出
    (勤務実態や給与について勤務先からの証明が必要)

出産育児一時金

本来であれば全額負担のところ、健康保険から出産費用の補助がでる助成金です。

  1. 対象者
    妊娠4ヶ月(85日)以上で出産する被保険者、配偶者の健康保険の被扶養者
  2. 支給額
    1児の出産につき42万円、多胎児を出産した場合は、胎児の人数分
  3. 手続き
    病院への申請書提出・健康保険証提示
    (退職した勤務先の健康保険であっても被保険者期間が1年以上、退職後6ヶ月以内の出産であれば対象)

育児休業給付金

育児休業中に給与が一定以上支払われなくなった場合に、加入している雇用保険から給付金が支給される制度です。

  1. 対象者
    1歳(延長の場合1歳6ヶ月~2歳)に満たない子どもを養育するために育児休業を取得する被保険者であり、育児休業開始日前の2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上あることです。
    また、退職予定の場合も対象外となります。
  2. 支給額
    原則、休業開始時賃金日額×支給日数×67%

実際に利用した制度

  • 保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保
    勤務希望を提出する際に、妊婦健診の日を「健診日」と休み希望を出しました。
    通常休み希望は月4日までですが、「健診日」はそれとは別で取りました。
  • 妊娠中の休憩に関する措置
    師長に請求してはいないですが、病棟のスタッフが優しく「お腹が空いたら食べな」「少し休みな」と声をかけていただき、こまめに休憩していました。
  • 産前・産後休業
    事前に請求して産前6週間、産後8週間取得しました。
  • 深夜業の制限
    師長に妊娠を報告した際に「夜勤はしない」とのことで、免除させていただきました。
  • 育児時間
    産後半年で復帰したため、1歳に達するまでは30分を2回利用して就業終了時間を1時間早めました。
  • 出産手当
    産前・産後休業を取得したため、休んでいた期間の支給額をいただきました。
  • 出産育児一時金
    出産費用の差額分のみ支払うように利用しました。

入社1年目で使えなかった制度

私は産後休業の産後8週間後は、入社して1年が経過していました。そのため「育児休業」は取得することができました。
しかし、「育児休業」を申し出時点で1年以上継続して雇用されていないため、「育児休業給付金」の利用はできませんでした。
そのため育児休業を取得すると、その期間の私の収入はゼロとなります。
今後の経済的に1年間の無収入は正直厳しいと話し合い、院内の託児所は「首が座ったら利用可能」とのことで、産後半年を復帰予定しました。

仕事復帰後は子供が1歳まで7時間の時短勤務、1歳過ぎてからはフルタイム・夜勤再開しました。
しかし、子どもの夜泣きがひどく現在は夜勤はしておらす、日勤常勤として勤務しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

看護師は長期間労働や夜勤、人の命を預かる責任の重さなど…休憩する暇もなく、身体的にも精神的にもハードな仕事です。

母子ともに健康で、安心・安全に仕事ができるようにするためには「妊娠・出産後の働く女性を支援する法律・制度」を知っておくことが大切です。
様々な法律・制度を利用することで、母体の負担を軽減することで切迫流産などのリスクから守りましょう。

また、新人看護師1年目ということで利用できない制度もあります。
わからないことは師長や総務課に相談し、制度を考慮して今後の見通しを立てることをおすすめします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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